エンジョイエイジング コラム
更年期障害治療の
お財布事情
急に顔が熱くなったり、わけもなくイライラしたり…、そんなからだとこころの不調を早く何とかしたい!でも、更年期世代は子どもの教育、親の介護など、何かとお金が必要な時期。やっぱり気になるのは、ホルモン補充療法(HRT)など治療にかかる費用です。
現在では、更年期障害の症状改善を目的とした市販薬やサプリメントが多くあり、手軽に購入できます。そのため、医療機関を受診せずに、自分で症状を何とかしようとするケースも少なくないようです。
みんなの更年期事情
実際に、40~59歳の女性を対象とした更年期障害に関する調査では、何らかの更年期障害の症状があるものの、医療機関を受診しなかった人の36%が、「食事に留意する」「整体・マッサージ/鍼を受ける」「市販薬やサプリメント、健康食品を使用する」など、症状に対して何らかの対処を行っていました。
また、更年期障害の症状があっても婦人科の受診以外を選択した理由として、「安価ですむから」が30%も占めていました。医療機関を受診するとお金がかかるというイメージがあるのかもしれません。
更年期障害治療のお財布事情
では実際のところ、医療機関を受診した場合と自分で対処した場合で、かかる費用は異なるのでしょうか。同調査では、医療機関を受診した患者さんの1ヶ月の費用(受診料や薬剤費など)は、平均で3,622.1円、自分で何かしらの対処を行った人の1ヶ月費用は平均で4,638.9円と、医療機関の受診のほうが、費用がかからなかったという結果でした(下図)。
婦人科かかりつけ医をもちましょう
この結果をみて、‟意外!”と驚く人もいたのではないでしょうか。しかし、HRTや漢方薬などの治療のほとんどは健康保険が適用されるため、もちろん個人によってかかる費用は違いますが、自分で対処したほうが必ずしも安くすむとは限らないのです。
トータルで考えてみると、医療機関での治療は、お財布にやさしく、体調改善ができるかもしれません。更年期でも生き生きと自分らしく過ごすために、上手に医療機関を活用しましょう。
監修:飯田橋レディースクリニック院長
岡野浩哉先生
岡野先生からのコメント
更年期障害は家庭や職場で今までと同じように活動することを妨げ、その後の生活や人生を台無しにしかねない病気です。そのため更年期障害の治療・検査・薬剤には国民健康保険が適用されているのです。医療機関では同様な症状を起こす他の疾患との鑑別を行い正確な診断を確定します。その後、障害の程度により生活習慣の是正指導から薬物療法までを行います。これら一連の“診療”は、個人のみならずご家族、職場にとってもなくてはならない行為と言えます。更年期医療は、その場しのぎではない、更年期を発端とし老年期を視野に入れた健康を希求する医療です。まずそのドアを叩いて欲しいと願います。