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更年期障害は治療できます。
ひとりで悩まず、お医者さんに相談を。

更年期障害Q&A

更年期障害について

Q1更年期障害って病気なの?
A 閉経前後の更年期に生じる症状がつらく、ご本人やご家族の日常生活に差し障りがある場合を更年期障害といい、病気と診断します。もちろん病院で治療することができます。更年期障害では、症状の種類も強さも、ご本人が不快に感じる度合いも個人差が大きく、気のせい、加齢のせいなどとして放置してしまうことや、病気という意識を持てずになかなか受診に至らない場合がありますが、あくまでもご本人が不調を感じているかどうかが重要です。不調を感じる場合は早めにお医者さんに相談してください。
Q2更年期の症状にはどんなものがあるの?
A 更年期障害の症状はさまざまで、日によって症状が異なったり、出なかったりもします。多いものとしては、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、発汗)、動悸、不眠などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
Q3更年期の症状は人によって違うの?
A 症状の現れ方も人によってさまざまです。エストロゲン欠落症状の代表的なものはホットフラッシュですが、ホットフラッシュがまったくないのに腰痛や頭痛で悩んでいる人もいます。また、同じような症状でも、あまり負担に感じない人もいれば、耐えきれないほどのストレスを抱える人もいます。
ご本人を取り巻く状況もさまざまで、家庭人としては、子どもが独立した、老親の介護が必要になった、職業人としては管理職になったなど、大きな変化が生じる時期でもあります。このような外的要因と、からだの中で起こる内的な変化があいまって、人それぞれで違った症状があらわれるのです。
Q4何科を受診したらいいの?
A 女性のからだをトータルに診る婦人科医に相談するのが不調を解消する早道です。
ただし、更年期障害の症状だと思っても、実はほかの重大な病気が原因のこともあるので、症状の陰に隠れた病気がないかを見極めるためにも検査を受けることは必要です。
更年期以降は骨粗しょう症や排尿障害、脂質異常症などの生活習慣病など、悩みを抱えやすい年代ですが、このようなときにも婦人科医は頼りになる存在です。いざというとき気軽に相談でき、親身になって考えてくれる婦人科のかかりつけ医をつくっておきましょう。
Q5どの程度つらいときに病院に行けばいいの?
A がまんしないで、気になったらまず婦人科のお医者さんに相談してみましょう。
更年期障害の症状は、バランスのよい食事や運動、ストレス対策、休養などで、ある程度改善することができますが、それでも症状が改善しない場合や、支障がなくてもご本人が気になる場合などは、お医者さんに相談することをおすすめします。
Q6初診のときに何を準備すればいいの?
A お医者さんとのスムーズなコミュニケーションのために、基本的な情報をあらかじめ整理してメモにしておくとよいでしょう。
  • 月経の周期や月経期間
  • 最終月経の開始日
  • これまでかかった病気
  • 現在飲んでいる薬
  • 生活習慣
  • もっとも気になる症状の情報(症状がいつから出ているのか、どのようなときに出るのか、1日のうちいつ出るのかなど)
など。

治療法と副作用について

Q7ホルモン補充療法(HRT)ってどんな治療法なの?
A 更年期障害の治療や閉経後女性の健康増進、健康維持を目的に開発された治療法で、更年期に減少する女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン(プロゲステロン)を補う方法です。子宮を有するか子宮を手術で切除しているかによってHRTの方法は異なります。詳しくはこちらをご覧ください。
Q8HRTの経口剤(飲み薬)と経皮吸収型製剤(貼り薬、塗り薬)の違いについて教えて。
A 経口剤(飲み薬)は服用しやすいですが、胃腸から吸収され、肝臓を通って血液中に吸収されるため、胃腸症状が出たり、肝臓に負担がかかったりすることがあります。
一方、経皮吸収型製剤は、貼ったり、塗ったりするタイプがあります。どちらも皮膚から直接血液に吸収されるため、肝臓に負担をかけず、飲み薬よりも少量で効果があるとされています。さらに、中性脂肪を増やさないといったメリットもあります。ただしかぶれることもありますのでご自分の体調や体質に合わせて選ぶとよいでしょう。
Q9HRTはどんな症状に効くの?
A 更年期のエストロゲンの減少によって生じるホットフラッシュなどの血管運動神経症状や、動悸などの自律神経系の不調の改善、骨粗しょう症の改善、皮膚粘膜が萎縮して起こる萎縮性腟炎、性交時の痛みなどに効果があるとされています。詳しくはこちらをご覧ください。
Q10HRTには、月経を起こす方法と、起こさない方法があると聞いたけど、どんな違いがあるの?
A HRTで使うエストロゲンは子宮内膜を厚くし、はがれた内膜が月経の出血となります。黄体ホルモンは子宮内膜をはがす働きがあります。黄体ホルモンの使い方によって月経を起こすか起こさないかをコントロールできます。
エストロゲン単独療法/エストロゲン・黄体ホルモン併用療法

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  • エストロゲン単独療法
    エストロゲンのみを持続的あるいは間欠的に投与します。
  • エストロゲン・黄体ホルモン併用療法
    ※周期的併用投与法
    エストロゲンを間欠的または持続的に投与し、黄体ホルモンを併用します。
    ※持続的併用投与法
    エストロゲンと黄体ホルモンを療法とも持続的に投与します。
Q11HRTは性交痛にも効果があるの?
A 更年期には、性生活に悩みを持つカップルも少なくありません。更年期にはエストロゲンの減少によって皮膚や粘膜が萎縮し、萎縮性腟炎を起こしやすくなり、性交時に出血や苦痛を感じるのです。
HRTはこの減少したエストロゲンを補いますので性交痛の改善に効果があります。
Q12「HRTを続けると若がえる」「HRTは美容に効く」と聞いたけど、本当?
A 「化粧ののりがよくなった」という患者さんはいらっしゃいます。海外では皮膚のコラーゲン量が増し、皮膚の厚みが増すことが知られています。日本では、健康保険制度の目的が病気の治療に限定されているので、お医者さんが美容を目的にHRTをすすめることはありません。美容を目的とする場合はすべて自費となります。

治療の期間について

Q13HRTはどのくらい続ければいいの?また、生涯続けても大丈夫?
A 更年期障害の症状が改善され、体調がよくなったらやめ、また必要になったら再開すればいいでしょう。また、年齢が進むにつれ、からだがエストロゲンの少ない状態に慣れたら症状も落ち着くため、そのタイミングでやめることもできます。長期間続ける場合は、定期的に検診を受け、医師と相談しながら続けていきましょう。
Q14HRTを途中で中止してもいい?
A 自分に合わないと感じたときは、お医者さんに相談して、いつでもやめることができます。だたし、自己判断でやめると急激にホルモンのバランスを崩し体調が悪化する危険性もありますので、必ずお医者さんの指示に従ってください。
Q15HRTは閉経になる前からはじめても大丈夫?年齢制限などはあるの?
A 血液検査によって女性ホルモンの分泌量を調べることができます。検査で卵巣の働きが弱まっていることが判明したら、閉経前でもはじめるケースがあります。いずれにせよ、お医者さんとよく相談しましょう。
30歳代の人であっても早く閉経がきてしまった場合(早発閉経)や卵巣を摘出した場合には、骨量減少や動脈硬化の心配が出てきますので、症状を考え併せて投与してもよいでしょう。
Q16閉経から5年も経っているけど、これからHRTをはじめても効果はある?
A 効果はあります。
不快な症状が残っているのであれば解消される可能性がありますし、骨粗しょう症や動脈硬化といったエストロゲンの減少によって起こる病気の予防という点からも、手遅れということはありません。ただし、60歳以上の方または閉経後10年以上経っている方は、慎重に投与を検討する必要がありますので、お医者さんと相談してください。

治療の副作用について

Q17HRTの副作用にはどんなものがある?
A 生理のような出血、乳房のハリや痛み、おりもの、下腹部のハリ、吐き気などが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
Q18HRTを続けると、子宮体がんや乳がんになるのではないかと心配。
A かつてのHRTは、エストロゲンだけを補充していたために子宮内膜が厚くなることで子宮体がんに発展することがありました。しかし、現在のHRTでは必要な人には黄体ホルモンを併用するため、その心配はありません。黄体ホルモンは子宮内膜をはがし、厚くなるのを防ぐ効果があります。

過去に、HRTで乳がんになるという、行き過ぎた解釈が生まれましたが、専門機関があらためてよく見直したところ、5年未満では乳がんが増えることはないという再評価が出ています。詳しくはこちらをご覧ください。
Q19「HRTは太る」という噂は本当?
A そんなことはありません。
Q20胸がハルけど、大丈夫?
A HRTで使っているエストロゲンの働きによるものなので、からだへの影響はありません。
乳房のハリ以外に、下腹部のハリ、吐き気などがみられることがありますが、ほとんどの人は治療を1~2ヶ月続けるうちに自然に解消します。
Q21HRTをはじめたら、月経がはじまってしまった。大丈夫?
A HRTというのは、月経のメカニズムを司っていた女性ホルモンを投与するため、子宮内膜が反応して出血が起こります。ただし、卵巣自体は機能しないため妊娠はしません。
閉経を迎えたのに、再び出血がはじまることに抵抗がある人もいます。薬の量や組み合わせ、また飲み方など、出血を避ける方法もありますので、気になるようでしたら、お医者さんに相談してみましょう。

その他

Q22HRTは更年期の女性なら誰でも受けられるの?
A 誰でも受けられるわけではありません。
まず行ってはいけない人は現在子宮内膜がん、乳がんを治療中の方や過去に乳がんの治療を受けた人です。過去に子宮内膜がんや卵巣がんの治療を受けた方は投与可能な場合もあるのでお医者さんとよく相談し、また、定期的に受診することが必要です。
このほか、原因がわからない不正出血がある方や、肝臓の病気がある方、血栓や塞栓、があるといわれた方も行えません。 受けられない方
  • 乳がんにかかっている方と既往のある方
  • 子宮内膜がんにかかっている方
  • 血栓性静脈炎や肺塞栓症、動脈性の血栓塞栓疾患(例えば冠動脈性心疾患、脳卒中) の方と既往のある方
  • 妊婦、または妊娠している可能性がある人
  • 授乳している人
  • 重度な肝障害のある人
  • 診断の確定していない異常性器出血のある人
など。 注意が必要な方
  • 子宮内膜がんや卵巣がん、子宮内膜症、子宮筋腫の既往のある方
  • 血栓症の既往のある方
  • 乳腺症などの良性乳房疾患の方
  • 60歳以上または閉経後10年以上のはじめての方
  • 管理不良な糖尿病の方
  • 慢性肝疾患の方
  • 高度の肥満の方
  • ヘビースモーカーの方
  • 管理不良な高血圧の方
  • 心疾患の既往のある方
  • 片頭痛の方
  • てんかんの方
  • 急性ポルフィン血症
  • 全身性エリテマトーデス(SLE)の方
など。
Q23HRTはどの診療科で受けられるの?
A HRTを実施している病院なら、どの診療科でも受けられますが、婦人科検診や性器出血に対するケアが必要なことから、まずは婦人科を受診しましょう。
Q24医療機関で行うと、HRTは費用が高いのでは?
A 45~55歳の女性に更年期障害を改善するために医療機関に支払った月平均費用をアンケート調査したところ、現在HRTを受けている人(108名)では約3000円、一方更年期障害が要受診レベルであるにもかかわらずHRTを受けたことがない、あるいは今は受けていない人(160名)では4000円と、HRTを受けたほうが医療費は安く抑えられるとの結果が出ています。
医療機関へ支払った月平均費用 HRT群 3234円 non HRT群 4017円

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Q25HRTのお薬は薬局で買えないの?
A HRTは市販薬ではないため、購入できません。
HRTの薬はお医者さんの処方箋がなければ使用することができません。
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