更年期障害の治療 ホルモン補充療法(HRT)の気になる副作用
ホルモン補充療法(HRT)は使用する薬剤により、副作用のリスクは違いますが、からだが治療に慣れてくる1~2ヶ月後までに治まるものがほとんどです。
おもな副作用
- 不正出血
- 乳房の張りや痛み
- おりもの
- 下腹部のハリ
- 吐き気 など
これらは薬の頻度や量を調節して改善できます。また、月経のような出血が見られることもありますが、それを避けたい場合は、薬の加減で出血させない方法もありますので、お医者さんに相談しましょう。
HRTと乳がんについて
過去に、海外の研究結果から乳がんの危険性が高いなどと一部のメディアで取りあげられ、行き過ぎた解釈が生まれました。しかし、絶対危険率は、日本女性にあてはめると乳がんの増加は1万人につき年間3例の増加であり、子宮摘出後女性に対するエストロゲンの単独投与では、相対リスクで6.8年間の投与により、乳がんリスクは23%低下するという結果でした。
また、国際閉経学会などの専門機関が再解析したところ、HRTにおけるリスクは見直され、更年期の女性にとって、よりメリットの多い治療として再評価されはじめたのです。米国の研究では、乳がんになりやすい要因として、HRTよりも、乳腺の病気にかかったことがある、乳がんになった家族がいる、最初の出産が35歳以上、出産経験がない、といったことのほうが、乳がん発症の危険性が高いこともわかってきました。更に、黄体ホルモンの種類を工夫することで、リスクが軽減できることもあります。
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日本では、2004~2005年秋に厚生労働省研究班による調査が行われ、過去10年間以内に乳がんの手術を受けた45~69歳の女性と、同世代のがん検診受診者の中で乳がんではなかった女性に対し、HRTの経験など21項目のアンケート調査を行ったところ、前者でのHRT経験者は5%、後者では11%であり、乳がんではないグループの方に約2倍のHRT経験者が多いという結果が出ました。
つまりHRT経験者に乳がんが増えるわけではなく、むしろHRT未経験者に比べて乳がんになる危険性は半分以下だったのです。HRTのリスクやデメリットについては、現在も世界と日本で再解析が行われています。気になることがあれば、お医者さんに相談しましょう。