サステナビリティ
ごあいさつ
業績回復基調を
確かな軌道に乗せ、
持続可能な発展を目指す
「サロンパスⓇ」発売90周年という節目
1934年に発売した「サロンパスⓇ」は今年90周年を迎えました。様々な社会的な変化を乗り越え、こうした節目を迎えられましたのも、ステークホルダーの皆さまの信頼と期待に応えられるよう、「世界の人々のQOL向上を目指す」ことを継続してきた結果と感謝する次第です。
21世紀に入り、社会の変化はめまぐるしく、直近では新型コロナウイルス感染症の流行や気候変動による自然災害等もお客さまのQOLに関わる大きな課題だと認識しています。そういった中、新研究所「SAGAグローバルリサーチセンター」の竣工や国内物流体制の拡充、アフリカ・ナイジェリアでの「SalonpasⓇ」上市、指定医薬部外品「エスカップⓇ」、医薬部外品「ラカルトⓇ」等、一般用医薬品事業の拡大を進め、着実な成長をより確かなものとできるように取り組み、期初予想を超える業績を達成することができました。
中期経営方針の進捗
「HX2025(Hisamitsu Transformation 2025)第7期中期経営方針」で定義した新たに果たすべき使命については、売上高「CAGR5.0%以上」に対して7.4%となりました。海外売上高比率「50.0%以上」については、海外実績が順調に推移し42.8%となり、今後のアフリカなど新規市場への展開を含め目標達成に向けて取り組みを進めてまいります。ROE「8.0%以上」に関しては、2023年度実績5.4%であり計画段階から順調に向上、DXの推進をはじめとする業務改善や新たな研究開発体制の本格的な稼働により、目標達成に向けて一層の取り組みを進めていきます。
また、株価を意識した経営を進めることも併せて重要であると考えています。ROEに加えPBR等も踏まえ、配当・自己株式取得・政策保有株式の適正管理を通じてステークホルダーの皆さまと同じ視点を持った経営に努めてまいります。
●Expand~拡大する~『成長の柱』
「サロンパスⓇ」の海外展開(重点地域へのリソース集中、新「サロンパスⓇ」の拡大)に関しては、国・地域により多少のばらつきはあったものの、前期比で国内35.9%、海外15.5%増となり、着実な進展が見られました。さらに、「エスカップⓇ」をはじめ一般用医薬品も国内外ともに売上が伸びており、日本国内のインバウンド需要や営業活動などの効果が見られます。
医療用医薬品において、経皮吸収型持続性疼痛治療剤「ジクトルⓇテープ」の売上拡大、原発性手掌多汗症治療剤「アポハイドⓇローション」の発売等、疼痛治療に加え新たな成長領域の構築を進めています。
●Exceed~壁を超える~『課題の克服』
海外展開に関しては、それぞれの国・地域の法規制や文化、生活慣習等の違いを踏まえ、きめ細かな対応を進めることで海外売上高比率も伸びており、アフリカでの展開や新たな商品導入を含めて一層の伸展を見込んでいます。
医療用医薬品における米国での「XELSTRYMⓇ」の展開、国内でのマイクロニードルによる「HP-6050」開発。その他「エスカップⓇ」等QOL向上を目指した商品構成のポートフォリオの拡充についてもしっかりと取り組んでいきます。
●Enhance~強化する~『機能の強化』
新研究所「SAGAグローバルリサーチセンター」が2024年2月に竣工し、研究開発体制の再構築も進んでいます。DXの推進と併せて事業を進める基本的な体制が整い、中期経営方針の推進を着実に進めることができると考えています。パイプラインに関してはこれまでも進めてきましたが、オープンイノベーションを含めた研究開発体制の再構築により、一層の進展に向けて着実に取り組んでいます。
サステナビリティ領域への対応
気候変動をはじめとする環境課題や人権、人的資本といった企業基盤に関わる課題等、サステナビリティ領域として充実を図るべき取り組みの重要性は高まるばかりです。2021年に設置したサステナビリティ推進委員会の機能については、常に将来を見据えた改善・充実を進め、経営との一体化を図っています。
環境課題については、エネルギーマネジメントをグローバルで進め、温室効果ガス(GHG)排出量の削減を進めています。自社対応だけでは達成できない問題についても、宇都宮工場が立地する「清原工業団地スマエネ事業」に参画し地域や複数他社と協働したプロジェクトへ積極的に参加する等、より社会的な効果の高い取り組みを進めています。
さらに、水資源リスクへの対応、生物多様性・生態系保全といった事業にも関わる課題に対して、より具体的な施策を実施できるように取り組みを進めています。商品サービスに関わる課題については、梱包・容器包装・物流・廃棄といった細かな観点を踏まえ、「HELLO! eco!」※等のより先進的な対策を実施することが重要だと考えています。
気候変動対応として、GHG排出のスコープ1・2における自社でのしっかりとした対応はもちろん、商品、サービスの原材料採取から商品使用、廃棄にいたるライフサイクル全般でのスコープ3の低減もGHG排出量全体の大部分を占めることから重要となっています。
佐賀県鳥栖市という、大都市とは違い自然豊かな地域に本社を構える久光製薬として、都市部からの視点とは別のアプローチも提示できるのではないかと考え、あらゆる環境課題領域に対して検証を行い、最善策を模索して多様な観点から取り組みを進めていきます。
また、アフリカでの上市も契機の一つとなる重要な取り組みと実感し、生活環境、文化などの違いを踏まえ、国内視点では思いもよらない課題を踏まえて多様性を重視した取り組みを考えていかなければなりません。それとともに人事面においてもより透明性を持った仕組みの構築を図り、グローバルな人的戦略を構築、推進していくことが必要だと考えています。
サステナビリティ領域の様々な事案は、制度としてより厳密に求められるようになっていることも踏まえ、世界の人々のQOL向上を担う企業グループとして信頼されるよう努めてまいります。
自社のエコ基準をクリアした商品に表示するマーク。詳しくは https://www.hisamitsu.co.jp/sustainability/hello-eco.htmlをご覧ください。
ステークホルダーの皆さまへ
久光製薬グループは創業以来ステークホルダーの皆さまとともに歩み、困難を乗り越え、人々の生活、暮らしに寄り添ってきました。様々な課題が山積している現代においても、これまでの積み重ねを忘れることなく、経営理念である「世界の人々のQOL向上を目指す」を常に考えて取り組みを進めていきます。
そのためには、適切な情報を開示し、皆さまと共有することでエンゲージメントを深めて進めることが重要です。様々な地域、それぞれの立場の状況をしっかりと把握して、ともに取り組みを進めることで、信頼されるパートナーとなれるよう一層の精進を図ってまいりますので、変わらぬご支援・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。