サステナビリティ
環境
気候変動への対応
久光製薬グループは、全従業員が環境保全の重要性を認識し、環境面からも社会的課題の解決に取り組んでいます。研究開発から生産、販売プロセスが環境に与える影響を評価し、バリューチェーンにおける環境負荷低減(商品輸送におけるモーダルシフト等)に努め、豊かな地球環境の実現を目指しています。今後も積極的に商品や事業を通じた地球温暖化防止への取り組みを推進していきます。
脱炭素社会への貢献
久光製薬は脱炭素社会の実現のため「日本製薬団体連合会の低炭素社会実行計画」に参画し、CO₂排出量削減目標を2021年12月に見直しを行い2030年度までに2013年度比で46%削減(スコープ1・2、対象:国内の全拠点)、2050年度までに実質ゼロを目指します。気候変動戦略において業界団体の立場と一貫性を持たせるため、気候変動に関する経済産業省、環境省、厚生労働省などの政府系主催のセミナーや、業界団体主催のセミナー等に参加し情報収集し内容を社内に共有しています。さらに、その内容について、当社の立場・考えに沿っているかを確認しており、また齟齬がある場合は、当社環境管理担当部門で協議したのち、サステナビリティ推進担当役員を委員長としたサステナビリティ推進委員会を通じて調整を図ります。このプロセスを通じて、当社の気候変動戦略と業界団体との活動を一致させています。2022年度の実績は2013年度比で30.6%削減となりましたが、2030年度目標に向けたさらなる対策や効率的運用で目標に向けて着実に環境負荷低減の活動を継続してまいります。
TCFDに基づく情報開示
当社は2022年5月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同表明し、同イニシアチブの提言に基づき、気候変動が事業にもたらす項目においてシナリオ分析を行いリスク(5項目)と機会(3項目)を特定し事業インパクト評価を行い開示し、さらに2023年3月には特定した項目を評価するための目標および対策を設定しました。シナリオ分析についてはサステナビリティ推進委員会が中心に行うとともに、短中期/長期におけるビジネスインパクト(移行リスク、物理的リスクおよび機会についての財務的影響度)および、これらビジネスインパクトへの対応方針や事業戦略について検討しました。その結果、炭素税および自然災害等に対してリスクがある一方、環境配慮型製品の需要拡大が機会として確認されましたので、これらのリスクおよび機会の対策を優先的に行います。
ガバナンス
当社は気候変動を含む環境問題を重要な経営課題として認識しており、マテリアリティの1つとして「環境経営の推進」を掲げています。気候変動に係る基本方針や重要事項等は代表取締役の諮問機関としてグループ全体のサステナビリティ活動の推進を行う「サステナビリティ推進委員会」において審議されています。委員会は取締役をはじめとして執行役員や関連部門の部門長などによって構成され、サステナビリティ推進担当役員がサステナビリティ推進委員会の委員長を務めています。
サステナビリティ推進委員会は原則四半期ごとに開催され、その審議内容を定期的に取締役会に報告することによって、気候変動の取組みとリスク管理に関する監督が取締役会によって適切に図られるよう体制を整えています。
シナリオ分析
気候変動に関するリスク・機会については、サステナビリティ推進委員会が中心となり、シナリオ分析を行うと共に、短・中期/長期におけるビジネスインパクト(移行リスク、物理的リスクおよび機会についての財務的影響度)および、これらビジネスインパクトへの対応方針や事業戦略について検討しました。その結果、炭素税および自然災害等に対してリスクがある一方、環境配慮型製品の需要拡大が機会として確認されました。
戦略(シナリオ分析、リスク)
リスク項目 | 重要度評価 | 目標 | 対策 | |
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事業インパクト | 時 間 軸 |
|||
炭素税導入の影響 | スコープ1、2について2013年度比で2030年度46%削減、2050年度実質ゼロ達成のために再生可能エネルギー源への切り替えや空調設備更新でコストが増加する。 | 長 期 |
エネルギーの安定調達によるレジリエンスの向上 | スコープ1、2について2013年度比で2030年度46%削減、2050年度実質ゼロ達成のため、業種の異なる複数事業者と連携してエネルギーの安定調達によるレジリエンスの向上を進める。 |
主たる原材料(石油由来)に炭素税が付加され調達コストが増大する。 | 長 期 |
調達コストの抑制 | 調達コストを抑制するためにサプライチェーンマネジメントを強化する。 | |
気温上昇に伴う原材料への影響 | 原料不足、植物の生育が悪くなるなどし、原料価格が上昇する。 | 長 期 |
原料価格に左右されないサプライチェーン確立 | 研究開発段階から原材料調達を見据えた部門横断コミュニケーションにより安定調達を図る。 |
自然災害(サプライチェーンへの影響) | 自然災害の深刻化・増加により主力商品の原料に関わるサプライヤーが被災、輸送網の寸断が頻発することにより主力商品の製造ができずに売上が減少する。 | 中 期 |
原材料の安定調達推進 | 原材料の在庫確保や調達先との良好なエンゲージメントを図り、原材料の安定調達を進める。 |
脱炭素技術への対応 | 環境に配慮した商品開発が進まないことにより、消費者のニーズの変化に応えられず、市場シェアが低下し売上が減少する。 | 中 期 |
環境配慮型商品の開発推進 | 環境配慮型商品の開発・導入を進める。 |
※時間軸の定義;短期:~2025年、中期:~2030年、長期:~2050年
戦略(シナリオ分析、機会)
機会項目 | 重要度評価 | 目標 | 対策 | |
---|---|---|---|---|
事業インパクト | 時 間 軸 |
|||
環境配慮型商品の需要拡大 | 環境配慮の新商品の開発により、需要が拡大し、売上が増加する。 | 長 期 |
環境配慮型商品の開発推進 | 環境配慮型商品の開発・導入を進める。 |
レジリ エンス |
化石燃料から再生可能エネルギー源へ切り替えることにより、化石燃料の価格上昇によるコストへの影響を回避できる。 | 長 期 |
化石燃料の価格上昇におけるコスト削減 | 再生可能エネルギーの導入を図る。 |
生産設備メーカーと省エネ型設備開発に取り組み、エネルギーコストを低下させることで、レジリエンスを高める。 | 長 期 |
既存製造設備の効率化 | 省エネタイプの機器導入を図る。 |
※時間軸の定義;短期:~2025年、中期:~2030年、長期:~2050年
リスク管理
当社は気候変動を含む環境問題を重要な経営課題として認識しており、 「サステナビリティ推進委員会」の中でより詳細に検討しています。具体的にはリスクを識別・評価し、優先順位付けした上で、環境経営を推進する各部門で気候変動の取り組みを実行計画に落とし込み、サステナビリティ推進委員会の中で実行計画のモニタリングを行っています。特定した気候関連問題の影響は、サステナビリティ推進委員会より取締役会にて報告・提言することで、気候関連問題の影響を全社的なリスク運営に関するマネジメント体制に統合しています。
指標及び目標
当社グループは、マテリアリティのひとつに「環境経営の推進」を特定し、気候変動に関連するリスクを緩和するための指標として「CO₂排出量の削減(スコープ1、2)」を設定しています。日本政府および参画する日本製薬団体連合会の「低炭素社会実行計画」が掲げる目標の達成に貢献すべく、「2050年度までに実質ゼロ」を目指し、中期目標として、「2030年度までに2013年度比で46%削減」を設定しています。なお、この目標は国内のみならず、久光製薬グループの全拠点(CO₂排出量算定に与える影響が僅少な拠点は除く)を対象とし、グループ全体でCO₂排出量削減に取り組んでまいります。
指標 | 目標 | 実績(2022年度) |
---|---|---|
CO₂排出量(スコープ1、2) | 2030年度:46%削減(2013年度比) 2050年度:実質ゼロ |
久光製薬グループ 34,452 t 17.1%削減(2013年度比) 久光製薬単体 22,140 t 30.6%削減(2013年度比) |
CO₂排出量の推移
1.久光製薬グループ※
2022年度のCO₂排出量合計は34,452t。内訳は久光製薬単体(国内)が22,140t、国内子会社1,576t、海外子会社10,736t。特に海外子会社は生産量増加によりCO₂排出量が増加傾向でグループ全体の30.0%を占めるため、今後は海外子会社のCO₂削減対策を国内と共有して進め、削減効果を含めた検証を行い公開していきます。久光製薬グループは国内子会社および海外子会社・営業拠点においてCO₂排出量算定に与える影響の僅少な拠点(営業)は除外した久光製薬単体、国内子会社2社および海外子会社で製造所を有する4社からなります。
2.久光製薬単体(国内)
2022年度は、鳥栖工場を含む九州本社は新商品発売および既存品の生産量が増加しましたが、省エネ対策(設備投資含む)の効果により事業所単体で前年度比5.6%の減少となりました。また、営業車をガソリン車からHV車へ更新することによりガソリン使用量が少なくなりCO₂排出量の削減につながりました。今後も継続して太陽光パネル導入や製造設備・空調設備の省エネ機器へ切り替えおよび再生可能エネルギーの積極的導入を検討しCO₂排出量削減に取り組んでいきます。
サプライチェーンにおける
CO₂排出量(スコープ1、2、3)
原材料調達・製造・物流・販売・廃棄等といった製造から消費までの一連のプロセスにおいて温室効果ガスが発生し、地球環境に影響を与えています。脱炭素社会の実現のために、自社だけではなくサプライチェーン全体でのCO₂排出量削減が重要だと考えており、環境省のガイドラインに従ってサプライチェーン全体のCO₂排出量を算定しています。
サプライチェーン排出量
カテゴリ | 2022年度排出量 | 備考 | ||
---|---|---|---|---|
CO₂(t) | 比率 | |||
スコープ1 | 直接排出 | 7,862 | 6.52% | 算定範囲は久光製薬単体 |
スコープ2 | 間接排出 | 14,278 | 11.84% | 算定範囲は久光製薬単体 |
スコープ3 | 購入した製品・サービス | 49,823 | 41.30% | 国内における原材料等の数量に排出原単位※を乗じて算出 |
資本財 | 11,651 | 9.66% | 医薬品事業における設備投資額に排出原単位※を乗じて算出 | |
Scope1,2に含まれない燃料および エネルギー関連活動 |
4,885 | 4.05% | 購入電力、その他のエネルギーに排出原単位※を乗じて算出 | |
輸送、配送(上流) | 2,234 | 1.85% | 1次原料メーカーの製造所から当社工場、当社工場から 物流センター、卸等までのトンキロを算出し排出原単位※を乗じて算出 |
|
事業から出る廃棄物 | 2,433 | 2.02% | 国内工場、研究所の一般・産業廃棄物の種類別排出量に 排出原単位※を乗じて算出 |
|
出張 | 340 | 0.28% | 出張日数に排出原単位※を乗じて算出 | |
雇用者の通勤 | 271 | 0.22% | 交通区分別の交通費支給額に排出原単位※を乗じて算出 | |
リース資産(上流) | – | – | – | |
輸送、配送(下流) | 33 | 0.03% | 卸からの平均配送距離と数量からトンキロを算定し 排出原単位※を乗じて算出 |
|
販売した製品の加工 | – | – | – | |
販売した製品の使用 | – | – | – | |
販売した製品の廃棄 | 26,818 | 22.23% | 使用した原材料の量に排出原単位※を乗じて算出 | |
リース資産(下流) | – | – | – | |
フランチャイズ | – | – | – | |
投資 | – | – | – | |
合計 | 120,628 | 100.00% |
※環境省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算出のための排出原単位データベース(Ver.3.2)」に記載の値
エネルギー使用量の削減
省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)に沿って使用量を算出しました。2022年度は前年度より全体(久光製薬単体)で8.1%の削減となりました。これは、九州本社が空調温度の設定、照明の節電管理および製造機器の効率的な運用を徹底したことおよび東京本社の電力をすべて再生可能エネルギーに変更したことが要因と考えています。今後も継続して再生可能エネルギー導入促進を含めてエネルギー使用量削減を図っていきます。
フロン管理
「フロン類の使用の合理化および管理の適正化に関する法律」(略称「フロン排出抑制法」)に基づき、対象設備の台帳管理、簡易点検・定期点検、記録の作成、漏洩量の算定などを実施しています。機器更新時には、ノンフロンや低地球温暖化係数冷媒を使用した機器の導入を進めています。今後も漏洩防止・地球温暖化対策に努めていきます。
輸送の省エネ対策
商品輸送の多くはトラック輸送を行っていますが、輸送量の多い主要経路では、環境への負荷が少ないモーダルシフトに取り組んでいます。2022年度は、船舶輸送に加え、初めて鉄道輸送も取り入れ、トラック輸送のみと比較して約422tのCO₂削減となりました。今後も、積載効率の向上や共同配送などに取り組み、船舶輸送や鉄道輸送を積極的に取り入れることで、さらなるCO₂削減に努めます。
車両のハイブリッド車への切り替え
営業(社用)車両による環境負荷の低減に取り組んでいます。 営業車両については随時ハイブリッド車両への切り替えを行いCO₂排出量削減と省資源に取り組んでいます。2023年2月現在、営業車両のハイブリッド車の割合は93.5%です。2025年までに全ての車両のハイブリッド車への切り替えを予定しています。尚、九州本社では2022年7月より電気自動車を2台導入し運用しています。
久光製薬ミュージアム
2019年2月に完成しZEB(ZeroEnergyBuilding)認証※を取得した「久光製薬ミュージアム」(九州本社内)は2022年3月1日から2023年2月28日まで1年間運用した結果、ZEB評価基準に基づいた省エネルギー率は120%であり、設計値の103%を上回り良好な結果となりました。今後も省エネルギー運用を継続してまいります。
※「 ZEB(ZeroEnergyBuilding)認証」とは建築物省エネルギー性能表示制度(BELS:BuildingEnergy-efficiencyLabelingSystem)の最高ランク
海外工場のエネルギー使用量
2022年度はコロナ禍が続く中、コロナ禍以前の生産量には及びませんが、久光ベトナムや久光インドネシアでは2021年度より増産したことによりエネルギー使用量も増加しました。生産量に準じて電力や燃料などのエネルギー使用量が増減しますので省エネルギー技術の導入やさらなる生産効率の改善を図ることで、エネルギー使用量低減に取り組みます。
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | ||
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ノーベン | 電力 (MWh) |
11,152 | 10,709 | 10,302 |
ガス (㎥):LNG |
349,987 | 110,805 | 114,403 | |
軽油 (KL) |
1.2 | 0.0 | 0.0 | |
久光ベトナム | 電力 (MWh) |
3,323 | 2,386 | 3,773 |
ガス (㎥):LPG |
58,410 | 30,893 | 48,797 | |
軽油 (KL) |
4.4 | 2.1 | 2.7 | |
久光インドネシア | 電力 (MWh) |
2,331 | 2,357 | 3,274 |
軽油 (KL) |
120.0 | 112.0 | 256.0 | |
久光ブラジル | 電力 (MWh) |
2,645 | 2,544 | 2,489 |
ガス (㎥):LPG |
20,700 | 6,186 | 4,156 | |
軽油 (KL) |
54.9 | 49.8 | 36.0 |