サステナビリティ
社会
従業員とのかかわり
企業使命である『「手当て」の文化を、世界へ。』を具現化するためには、すべての従業員が仕事を通じて何ができるのか、何を実現したいのかを自ら考え、行動すること(=仕事の自分事(じぶんごと)化)が必要と考えています。
そのために、一人ひとりが仕事とプライベートの調和をとり、豊かな人生を築くことが重要であるとの認識の下、従業員の成長機会の創出と働きやすい職場づくりを通じて、働きがいを高め、従業員の自律したキャリア実現と社会課題の解決、および当社グループの成長の好循環を実現していきます。
人材戦略
人材確保
社内環境の変化や、多様な働き方の進展による流動性の高まりへの対応を課題として、新卒、中途を問わず「ダイバーシティ」、「グローバル」、「ジョブ」をキーワードに採用活動を展開し、社内においても働き方の継続的な見直しを実施していきます。
人材育成方針
経営戦略の実現のためには、「手当て」の文化をいかに世界の人々に広めることができるか、どれだけアイディアを生み出すことができるかが重要です。そのためには、お客さまの声を聞き、具体的な解決策を提示しトライする人材、課題を自分事(じぶんごと)として捉える人材が必要であることから、「相手をいたわることのできる人材の育成」、「仕事が自分事となった人材の育成」を人材戦略の基本としています。さらに、事業展開やサプライチェーンのグローバル化の進展を踏まえ、グローバルのフィールドで知識・経験・スキルを積み重ね、今まで乗り越えられなかった壁を乗り越えていくことに挑戦する組織づくりに取り組みます。
求める人材像 |
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■ 新たなことにチャレンジ
することが好き ■ 当社の想いに共感し、 やり遂げる ■ グローバルに活躍したい |
期待する発揮行動 | 発揮された行動による効用 | |
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価値創出 | 世界の人々が求める「手当て」の思いにあふれる商品・サービスとは何かを常に問い続ける | 必要な知識・経験・スキルを主体的に身に付ける |
キャリア自律 | 仕事を通じて何ができるのか、何を実現したいのかを自ら考え、行動する | 自己実現に向けての挑戦が成長実感を高める |
組織共創 | 意欲あふれる人材がチーム一丸となって社会課題の解決に取り組む | 世界の人々・従業員・会社それぞれに成果が還元される |
人材育成の考え方とありたい姿
人材育成の考え方 | ありたい姿 |
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仕事を自分事化して自律的なキャリアを形成し、 経営理念・企業使命の実現に意欲的に取り組む人材の育成 |
会社は従業員に成長機会を提供し、 従業員は主体的に取り組むことで、共に成長する好循環を生み出す |
人材育成にあたっての課題と方向性
経営戦略に基づく人材育成方針と当社の現状から、以下の点を重要課題と認識しています。
- ① Expand(拡大する)
「サロンパスⓇ」をはじめとする当社商品の海外展開を進めるにあたり、グローバルで活躍したいと考える次世代リーダー人材の発掘・育成。 - ② Exceed(壁を超える)
当社が持続的に成長するためには、多様な人材の獲得と活躍、自ら課題解決に向けて動き出すことが不可欠であり、従業員一人ひとりの働きがいを高めるための基盤整備。 - ③ Enhance(強化する)
当社の事業活動全般において「手当て」の思いをカタチにする組織風土の醸成、専門技術(研究開発、製造、販売)を有する人材、デジタル利活用を通じた価値最大化を企画・推進する人材の確保・育成。
育成に関する主な取り組み
組織文化の醸成、従業員個々の視点、組織体制としての視点などから様々な育成機会の提供を図っています。
□ 組織文化を醸成するための活動
「手当て」の文化を世界に広めるための象徴的な活動として、各種スポーツイベント等の場で、薬剤師の立ち合いの下、従業員が当社商品(試供品)を直接お客さまに手渡し、使用していただき、商品の良さを伝える活動をグループ全社で取り組んでいます。直接お客さまと触れ合い、声を聞くことができる人材育成の貴重な場として、今後も継続していきます。
□ 自己申告制度・社内公募制度
従業員は毎年、キャリアプランや異動配置、会社に理解してもらいたいことなど自らの意思を自己申告として表明しています。また、社員の意欲・熱意を掘り起こし、当社が対応すべき課題解決につなげるために、海外事業部門などを対象とした社内公募を定期的に実施しています。
□ 社内ベンチャー制度
従業員自らが「手当て」の思いを新たな事業として企画立案し、事業化実現と組織風土醸成のために実施しています。既存事業にとらわれない自由な発想を尊重し、従業員と会社双方の成長機会の創出に努めています。
□ 専門知識の習得機会の創出
自らが専門知識を身に付け、社会課題・経営課題を解決していく基盤整備に向けての取り組みとして、ITパスポートや語学試験の受検費用負担や、事業運営に必要な職務を担う者への職務手当支給拡充、自己学習支援の仕組みの更なる充実を図っています。
□ グローバル人材の育成
新規市場へのチャレンジや既存市場における競争力強化による優位性を確保するためには、グローバルのフィールドで知識・経験・スキルを積み重ねていくことが重要です。そこで、語学研修や異文化コミュニケーション、マネジメントスキルなどの習得・向上を目指した研修のほか、国内・海外各社から選抜された意欲ある従業員に対して課題解決方法を学ぶ機会を提供しています。
□ 階層別研修
●新入社員の育成
入社後は、経営理念、企業使命、基本方針の理解や、主体的な行動を身に付けることに主眼を置いた新人研修を実施しています。また、先輩社員がトレーナーとなり、新入社員が社会人として、企業人として成長することをサポートしています。
●管理職研修
管理職が果たすべき役割の一つである業績目標の達成に向けての人材育成のため、管理職自身の意識改革や動機付けという点を重視してカリキュラムを組んでいます。組織を管理するのみではなく、より高度なスキルとして、各事業分野の課題を現場レベルに落とし込み、的確に状況を判断しながら運営していくという経営戦略を実現するための能力開発に努めています。また、働きやすい職場づくり、従業員の成長実感を高めるために、ハラスメント研修や評価者研修を定期的に実施しています。
新任管理職を対象とした研修をはじめとして、管理職全員を対象とする研修や選抜型の研修など、目的とニーズに合わせた研修を行 っています。
□ 選抜研修
●ステップアップ研修
次期管理職が見込まれる社員を対象に、リーダーシップを発揮することを通じて、チームビルディングを体感し、次世代リーダーとしての自覚を促しています。
●留学研修
国内ビジネススクールや海外留学を通じて、グローバルかつ多面的な視点を養い、環境変化に対して柔軟な発想のもと、課題解決につなげることを期待しています。
研修制度
評価制度
□ 業績に連動した評価体制
従業員一人ひとりが仕事を自分事化し、目標達成意欲を高め、処遇に還元する好循環を実現するために、グループ全社の業績、部門ごとの業績を反映する業績評価賞与を導入し、成長実感と組織の一体感を高めるように努めています。
□ 個々の行動と成果に報いる評価
会社の成長は、個々の行動の積み重ねの結果であり、日々の仕事への意欲の向上と自己成長を図るため、個人の成長度(行動管理)と会社に対する貢献度(目標管理)の2つの観点から、個々の活動を評価しています。
行動管理については上司との面談を通じて、毎年「高い成果を生み出すための行動を安定して発揮しているか」を確認しています。
また、目標管理についても評価期間のはじめに上司との面談をもとに目標を設定しています。期間終了後には、まず自己評価を行い、上司との面談を通じて目標達成の度合いや今後の取り組みについて話し合い、さらなる成果の向上を目指します。
これらの評価は従業員の処遇に反映され、最終結果を従業員にフィードバックすることで、仕事に対する達成感につなげています。
働きがいを高めるために
組織の強みと課題を明らかにすることを目的としてモラールサーベイを毎年実施しており、従業員の声をマネジメントや研修、職場環境の改善につなげることで、働き続けられる、働きやすい職場環境づくりを推進しています。
働きがいスコア
社内環境整備方針
事業活動を通じて個々の能力が発揮され、自己実現を図るためには、個性を尊重し、多様な人材の活用を促進することが、環境変化に迅速に適応できる組織づくりにつながるものと考えています。そのために、働きやすさの向上、限られた時間内で業務遂行する取り組み、DE&Iの浸透などを通じて、働きがいを高めるための基盤整備に取り組んでいます。
ダイバーシティの推進
管理職研修や階層別研修などの場で両立支援や多様な人材活用の重要性について啓発し、ダイバーシティへの理解を深めています。
□ 女性活躍の推進
当社の管理職に占める女性従業員の割合は7.8%(2023年度)であり、その要因として周りにロールモデルがいないことや、仕事と家庭の両立への不安などが挙げられます。取り組むべき重要な課題の一つと捉え、女性自身も自らを見つめ直すべく、次期管理職候補者に対してHWL(Hisamitsu Women’s Leadership)研修を実施し、職場での行動変容を促しています。
□ 障がい者雇用
多様な人材活用の一環として、障がい者雇用を促進しています。製造現場での軽作業のほか、企画部門や研究所などにも雇用を広げ、能力に応じて活躍できる業務の創出に努めています。また、多目的トイレの設置や段差の解消など職場環境を整備するとともに、職場でのコミュニケーションを密にとることで、働きやすい環境づくりに努めています。
今後も、従業員の個性や能力に応じて活躍できる職場環境づくりに積極的に取り組んでまいります。
□ シニア人材の活躍
様々な経営課題を解決するために、高度な専門知識や技術を持つシニア人材の活躍ニーズは年々高まっています。蓄積した経験・スキルを活用して、定年後も後進の育成とともに経営課題の解決に意欲的に取り組む従業員は増え、活躍の場を広げています。
□ キャリア・リターン制度
育児や介護等のライフイベントや自己のキャリアアップのために当社を退職した従業員が、社外での経験を重ねた後、再度入社することができるように2023年8月に制度を整備し、多様な人材の活躍機会の創出のほか、多様性への理解を深める契機の一つとしています。
限られた時間で成果を上げていくために
従業員一人ひとりに、仕事を含めた生活全体を充実させてほしいとの考えの下、定時退社を促す「家族団らん・自己啓発の日」(毎週水曜日)に加えて、会社の生産性を高めるために業務プロセスの見直しを促進することを目的に、定時退社月間を設定し、取り組みを進めているところです。業務を見直す、助け合う、組織を超えて協力する、などアイディアを抽出し、自ら改善行動につなげることを期待しています。
在宅勤務・時差勤務
働き方の選択肢の一つとして在宅勤務制度を2021年3月に導入し、従業員が自身の役割を果たすために効果的な働き方のベストミックスを考え実践しています。また、業務の都合に応じて、時差勤務(始業時刻の繰り上げ・繰り下げ)を合わせて活用しています。
休暇の取得促進
年次有給休暇を取得しやすい風土づくりの一環として、従業員が自身を支えてくれるご家族やご両親へ感謝するために、従業員の誕生月およびその半年後に取得する「家族の絆を深める日」や、心身のリフレッシュと次への活力を生み出すことを目的として連続3日以上の取得を推奨する「WAKUWAKU連続休暇」を制定しています。
その他、従業員およびその家族の病気療養や介護等、不測の事態が生じた場合においても、安心して働くことができる年次有給休暇の積立制度や時間単位での活用も合わせて整備し、個々の事情に対応しています。
従業員関連の主要指標
指標 | 目標(2025年度) ※⑤⑥は2028年度 |
実績(2023年度) |
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①年次有給休暇取得率 | 80.0% | 71.7% |
②自己申告書提出率※1 | 100.0% | 98.3% |
③働きがいスコア | 5.0 | 4.7 |
④自己研鑽実施率※2 | 50.0% | 20.0% |
⑤女性管理職比率 | 15.0% | 7.8% |
⑥入社9~11年目の女性社員の 継続雇用割合※3 |
50.0% | 51.4% |
※1 自己申告書提出率は、今後のキャリアプランや異動配置についての希望、会社に理解してもらいたいことなど、自らの意思を表明するための申告書の提出率。
※2 自己研鑽実施率は、リスキリング等に取り組んでいる従業員の割合とし、当社自己啓発援助制度の利用者数、ITパスポート受検者数、TOEIC受検者数などを含む。
※3 継続雇用割合は、毎年人数が変動することを踏まえ、仕事と家庭を両立する従業員をはじめとした多様な人材が活躍し続ける組織づくりのための安定的目標としている。
ライフイベントに関する制度
さまざまなライフイベントを迎えた従業員が、男女問わず継続して能力を発揮できるよう制度を整えています。出産・育児・介護などライフイベントと仕事を両立し、やりがいを持って働き続けることができる職場環境の整備に取り組んでいます。
制度名 | 内容 | |
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結婚 | 結婚時 勤務地 申請制度 |
結婚時に配偶者との同居が可能となるような勤務地の希望を申請できる制度 |
出産・ 育児 |
育児休業 | 産後休業後、子が1歳6か月に達するまで、または1歳に達した後の4月末までのうち、 いずれか長い期間(ただし事情により最長2歳まで)休業できる制度 |
マタニティ 休暇制度 |
産前休業に入る前までの間、体調管理のための休暇を取得できる制度 | |
保育料 サポート制度 |
認可外保育所に入所している子が3歳になるまで、保育料の一部を補助する制度 | |
育児短時間 勤務制度 |
子が小学校3年生を終了するまでの間、一日最大2時間、勤務時間を短縮できる制度 | |
子の 看護休暇 |
小学校に就学するまでの子を持つ従業員が、子の疾病看護のために休暇を取得できる制度 | |
介護 | 介護休業 | 通算93日の範囲で、回数制限なく休業できる制度 |
介護短時間 勤務制度 |
利用開始から3年の範囲で、1日最大2時間、勤務時間を短縮できる制度 | |
介護休暇 | 要介護状態にある家族を介護する従業員が、介護や通院付き添いなどで休暇を取得できる制度 | |
雇用 | 定年後 再雇用制度 |
65歳を上限に、定年に達した従業員を再雇用する制度 |
キャリア・ リターン制度 |
育児や介護等のライフイベントや自己のキャリアアップのために当社を退職した従業員が、 社外での経験を重ねた後、再度入社することができる制度 |
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生活 | 災害復旧資金及び 疾病治療資金 貸付制度 |
居住する家屋または家財道具に被害が生じた場合、また本人を含む従業員家族に傷病が生じた場合、 復旧あるいは治療資金を貸し付ける制度 |
ボランティア 休暇 |
ボランティア活動のための休暇制度 | |
財形 | 持ち家 援助制度 |
新規に持ち家を取得する従業員に、その費用を援助する制度 |
従業員 持株会 |
従業員の資産形成支援として、毎月の給与から自社株式を購入する制度 (購入資金に対して、奨励金の援助あり) |
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ライフプラン 支援制度 |
将来に向けての資産形成として、自らの選択により 資産運用を促す企業型確定拠出年金(DC)制度 |
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社会貢献 | 久光製薬 株式会社 ほっとハート 倶楽部 |
会員従業員と会社からの拠出金を運営基金として、社会貢献団体を支援 |
その他
□ 保養施設
従業員の保養施設として、大分県由布市で「湯布高原ヴィラ」を運営しています。この施設は、くじゅう連山を望む高台に位置し、宿泊施設と温泉、研修施設を備えています。従業員やその家族の保養の他、社員研修でも利用しています。
□ 独身寮・社宅
本社・研究所のある地区には独身寮や社宅を備え、住環境の整備を行っています。その他の地区では、借り上げ社宅制度を設け、転居を伴う異動や単身赴任者の生活不安の解消に取り組んでいます。
□ 久光製薬クラブ
福利厚生活動の一環として「久光製薬クラブ」を運営しており、使用する設備の提供や資金面での支援を行っています。当クラブは、全国にスポーツ系・文化系の100を超えるクラブが活動しており、従業員が共通の趣味を通じ、年齢や部門を超えて交流を深めています。また、年間行事として体育行事および社員旅行を実施し、従業員の健康増進およびコミュニケーションの活性化に取り組んでいます。
□ 従業員の健康管理
従業員が自身のストレス状態に気づき、セルフケアに役立てられるよう、全社員を対象としたストレスチェックを実施しています。さらに、毎月産業医による職場巡視を行い、従業員の安全面、衛生面に関する第三者評価を行っています。ストレスチェックの結果やメンタルヘルス不調者には随時産業医によるカウンセリングを実施し、フォローアップしています。また、休職者には職場復帰プログラムを準備して円滑な復職ができるよう支援しています。
□ 人間ドックの受診奨励
定期健康診断以外で、人間ドックや脳検診を希望する従業員に対して、会社で一部受診費用負担を行い、早期発見・早期予防の一助としています。